はちみつ色のクレー

 

 テニスコートの土質

                   
 コートの土は高知県特産の黄土(真砂土)で出来ている。この土は「はちみつ色」で次のような特徴があります。
 

 長 所 

 
1.地元の山にある天然の土を使っているが、砂と粘土の中間の性質を持ち、砂のように水はけが良いにもかかわらず、ニガリ(苦汁)を入れなくても良く締まって固まる
2.雨後の再起が早く、天気が良ければ夏は半日、冬は1日後に使用出来る
3.足が疲れにくく、ボールも長持ちする優しいコート
4.「はちみつ色」でニガリを入れていないので、アンツーカー(フレンチオープンの赤い土で、ニガリを入れて締める)のように靴下やウエアーが汚れない
5.アンツーカーはレンガを粉砕したもので、粒子に角があり転ぶと擦り傷を負うが、この土は粘土質のため、転んでも擦り傷をほとんどしない
6.固く締まるのでイレギュラーが少ない
7.その他のコートサーフェスと比べてバウンドの摩擦が大きく、ボールのスピードが遅くなる
全仏オープン等でもラリーが続き、なかなかショットが決まらない
ストロークの基本を身に付けるには、クレーコートが最適であると言われている
近代のテニスはストローク戦が多くなっているが、フェデラー、ナダル、ジョコビッチなど世界のトップ選手は、ヨーロッパのクレーコート育ちが多く、子供の頃からクレーコートでストロークの基本を身に付けたからである
 

 短 所 

 
1.雨天及び雨後にすぐ使用できない
2.乾燥すると突風で土埃が舞うので、撒水しなければならない
3.高知でも気温が氷点下になる厳冬期には、凍結して午前中使用できない日が年に4〜5日ある
4.ビニールのラインテープ上にボールが落ちると、ボールが滑る
5.草引き、ローラー掛け等、維持管理に手間がかかる
 

オーナーこだわりのコート整備

 

 1. 土入れ

 
 テニスコートはベースライン付近やサービスコートなど、多くプレーする部分の土が削られ、低くなって雨上がりにヘドロが溜まります。その部分にそのまま土を入れて復旧すると、上下の土がヘドロの層に隔てられて一体化しません。
 そのまま使っていると、入れた土が薄い所はすぐ剥げ、また厚い所でも乾燥してくると亀甲状に割れて肌離れを起こします。乾燥するとまるで畑のようにコートが荒れます。
 そのため毎年長雨が降る季節に、1面ずつ新しい土を追加して、耕運機(乗用)で打ち返しをしています。その作業は雨中にやるので、まるで田植え前の田んぼの「代かき」をする様な作業です。
 コートは水を張ってプール状態ですので、土が重力の関係で自然に水平に近くなってくれます。しかし水はけと使用頻度を考慮して、コートの中程と、よく使うゾーンは予め2センチ位高くしてあります。それでも一度にフラットには仕上がるものではありませんので、雨が上がる毎に、タイミング良く水溜まりに印をしておいて、高いところは削り、低い所には土を追加して、混ぜ込みながら直していきます。これを5〜6回繰り返してようやく仕上がりとなります。
 この作業は自宅の隣にコートがあり、家族の協力があってこそ出来るのであって、人に頼んで出来る仕事ではありません。
 

 2. ライン打ち

 
 昔はラインを水で溶いた石灰で引いていましたが、今はビニールのラインテープを釘で打っています。
 はじめは鉄釘でしたが釘が錆びるため、テープを引き上げる時、錆びた釘と土が一体になって上がってきます。
 この問題はステンレス釘を使うことで解決できました。これでテープの張り替えや、打ち返しなどでテープを上げるのが楽になり、テープも痛まず、釘とテープが再利用できています。
 

 3. 草引き・土留め

 
 土のコートは雑草との戦いでもあります。初めは除草剤を撒いていましたが、環境問題があるので、 今は葉っぱに掛けると根まで枯れて、土壌を汚染しないものを使っています
 またコートにはネットからバックネットまでの間にわずか2センチの勾配(1/1000)しか取っていません。 これ以上の勾配を取ると、土が雨水と共に流れ出るからです。しかし台風や南国土佐特有の激しい夕立などの大粒の雨に叩かれると、土が大量に流れ出ます。
 これを防ぐためバックネットの外側に「りゅうのひげ」正式名は「蛇の鬚(じゃのひげ)ユリ科の常緑多年草」を植えてあります。 この草は山の斜面の土留めに使われるもので、肥料をやらなくても育ち、小分けをして増やせば、いくらでも増えるありがたい草です。
 

 4. 経済的なコート

 

 土のコートは業者に頼むと、造るにも維持管理にもお金がかかりますが、私の場合いは全て自分でやりますので、すごく安上がりです。
 特に修理の時にその差が顕著です。人工芝は部分修理をすると、色が変わり、継ぎ目がイレギュラーの原因になるので、クラブのステータスが低下します。 また痛むのは、面積にして十分の一にも満たない部分であるのに、 全面を張り替えるのも多額の費用がかかり、もったいない話です。 私の場合は土代が少しいるだけで、色もバウンドも変わらないので、一石二鳥です。
 

日本一のコート

 
 オーナーが情熱を持ってコート整備に努めているので、県外から来たビジターに「まるで鏡の様だ!これは日本一だ!」と言われる事は、 どんな手土産よりも嬉しい「お土産」です。
ラブ・フォーティ32ワンマンテニスクラブ
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